史上初のモーター“ファラデーモーター”を手作りで再現!歴史的実験に挑戦しよう
こんなモーターみたことありますか!?
まずは次の動画を見てください。とにかくびっくりすること間違い無し!なぜかしらないけど、アルミ箔が電池の上でくるくるとまわっています。
一見すると、ただのアルミ箔と乾電池、画鋲だけでできているように見えますが、なんとアルミ箔が電池の上でくるくると回り続けています。これを見たとき、「なぜ動くの!?」と驚き、何が起こっているのかさっぱりわからなかった方も多いのではないでしょうか。
実は、この不思議な装置は、電気エネルギーを運動エネルギーに変換する“モーター”の一種なのです。しかも、歴史上最初に発明されたモーター、「ファラデーモーター」を現代版にアレンジしたものです。今回は、このシンプルながらも驚きの詰まったモーターの作り方と、その背後に隠された科学の原理について、じっくり見ていきましょう。
使う材料はすべて100円ショップで手に入るものばかり。難しい知識は一切不要です。これを読めば、まるで手品のように不思議な現象の“種明かし”がわかります。さあ、一緒に科学の扉を開いてみませんか?
科学のレシピ
用意する物
アルミ箔、電池、画鋲、フェライト磁石5個
なんと、すべて100円ショップで揃います!
作り方
① 土台を作る
フェライト磁石を5枚以上かさねて、アルミ箔できれいに巻きます。
② 回転するところを作る
アルミ箔を幅5cmの帯にして切り抜き、縦半分におります。すると2.5cmくらいの帯がができます。それを中央でおります。
そしてこの帯を栗のような、スライムのような形に整えていきます。
③ 台座を作る
①で作った土台の上に、電池を起き、さらにその上に画鋲をおきます。
④ そっと栗型のアルミ箔をのせる
栗の形をしたアルミ箔をのせます。このときにアルミ箔の両サイドがちょうど磁石を巻いたアルミ箔に少し触れるように、長さを調節してください。動画をよく見てくださいね。
ここがポイントです。
これで完成です。手を放すと、アルミ箔がクルクルとまわりはじめます。
なぜ回る?ファラデーモーターの科学
このモーターが回る秘密は、電気と磁気の関係にあります。思い出してください、電流が流れている導線が磁場の中にあると、「電磁力」という力を受けます。ファラデーモーターでは、この電磁力を利用して回転を生み出しているのです。
【仕組みを紐解く3つの要素】
- 電流: 電池のプラス極からアルミ箔を伝って、磁石へと電流が流れています。
- 磁場: 電池の底に貼り付けた磁石は、強力な磁場(磁力の空間)を作り出しています。
- 力(電磁力): この電流と磁場の相互作用によって、アルミ箔に「回る」力がはたらきます。
この回転する力の向きは、「フレミング左手の法則」で説明できます。左手の中指を電流の向きに、人差し指を磁場の向きに向けると、親指が力の向きを指します。電池から電流が流れ、磁石の磁場があることで、アルミ箔は常に「回る」方向へ力を受け続け、その結果、クルクルと回転し続けるのです。
ファラデーが発明したこのモーターは、現代の高性能なモーターの“元祖”といえるものです。私たちの身の回りのあらゆるモーター製品—掃除機、扇風機、電車など—は、すべてこのシンプルな原理の応用によって動いています。
特別な道具を使わずに、電気と磁気の力が生み出すダイナミックな動きを体感できるこの実験。ぜひご自宅でも試してみて、「なるほど!」という驚きを体験してください。
工作できるファラデーモーターの別の形もあります。一つはこちらです。
針金を曲げて作っています。こちらの方が安定して回り続けることができますね。
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